メゾン・シャール・ブルジェは、ルイ王朝時代から続く王室御用達フランス生地メーカーです。ルイ王朝時代にデザインされた当時のオリジナルデザインを所有し、今でもそのデザインの生地を忠実に作り続けるフランス国宝企業です。
伝統と情熱が融合するフランス名門生地メーカー
フランス第二帝政が栄華を極めている時期。ロシア宮廷の行商人だったブルゲル氏は、ガルニエ宮近辺の行商地区において生地屋を設立しました。そこで、フランスを訪れるヨーロッパ各国の宮廷人にフランスが誇る美しい生地を卸はじめました。
第一次世界大戦後、ブルゲル氏の息子のシャルルは、ヨーロッパ諸国をメインマーケットとした事業を引き継ぎました。さらに、戦時中の塹壕においてブルンシュヴィグ大佐およびヴィダル氏と結んだ友情をきっかけに、米国への輸出事業もスタートしました。
メゾン・シャール・ブルジェは、その後、孫であるフランシス・ポルシェが妻とともに事業の運営にあたります。世界中のフランス愛好家に愛され続ける生地として、その事業はどんどん大きくなっていきました。
今日、メゾン・シャール・ブルジェは、5世代目となるマリー=ノエルとマルク=ポルシェによって受け継がれています。そして、イギリス王室、オランダ王室、アブダビ王室、ベルギー王室、スイス王室など、世界中のロイヤルファミリーに生地をご愛用いただいております。また、モスクワのフランス大使館や、マダム・ドゥ・ロスチャイルドの寝室の室内装飾を手がけています。そして、旧皇帝住居のビアリッツのホテル・デュ・パレのロトンダの室内装飾も担当しています。最も多くのロイヤルファミリーに愛される生地として、フランスが誇る最高品質の生地を作り続けています。
プリント生地のスペシャリスト
メゾン・シャール・ブルジェの特徴
豊富な技術と芸術性を備えるプリント生地のスペシャリスト、メゾン・シャール・ブルジェ。何百年にも渡り培われてきたプリント技術を用い、今なお、その生きた技法を守り続けています。最も歴史のあるインテリアファブリックのメゾンとして、他とは一線を画す技術を持ちます。代々受け継がれてきた豊富なオリジナルデザイン版を守り、人の手で作ることができる最も美しい生地を作り続けています。
オリジナルデザイン版:数十立方メートル分ものスペースに、ルイ王朝時代から所有するオリジナルデザイン版が保管されています。それらは、メゾン・シャール・ブルジェの魂でもあり、芸術的遺産です。そしてフランス芸術におけるインスピレーションの源とも呼ばれています。
プリントツール:メゾン・シャール・ブルジェは、新旧併せてプリント用の版、輪郭罫、胴の所有しています。そして、紋様・図柄のプリント、機織専用のデータも持ち合わせています。
プリントノウハウ:メゾン・シャール・ブルジェの一番のノウハウは、特定の紋様をプリントする際にあります。その時代の最も最適な素材・ツール、最高の技術、そして熟知する職人を厳選することにあります。
プリント生地の極意:古い図柄の生地を作る際、図柄の歴史的背景を引き出す最も美しい仕上がりを求める必要があります。紋様、素材、プリント法・機織技術をまるで錬金術のように融合させます。
メゾン・シャール・ブルジェではこのような様々なノウハウを掛け合わせ、多種多様な技術を駆使しています。
- 意匠図の読み取り(プリント用の色の識別、機織用の経糸と緯糸の交錯分解)
- 最適な素材の選択(ジャカード用の交錯・織目、印刷用の綿、麻、交織織物、不燃性ポリエステルなど)
- プリント法の選択(輪郭罫、胴、インクジェット)
- 織り機の選択
- 製作過程の導入および管理
- 各製作段階においての品質管理
メゾン・シャール・ブルジェは、ルイ王朝時代からの守られ続けるオリジナルのデザインを尊重します。そして、その生地の表情を現代にもフランスの歴史と共に伝え続ける。まさに、メゾン・シャール・ブルジェのみができることです。現代にプリントされた生地は、デザイン・素材・手触り、色彩、何をとっても、フランスが誇る歴史と技術の賜物です。
生地のプリント工程
全ての作業はルイ王朝時代から受け継がれるオリジナルデザイン版からデザインを選ぶことから始まります。特に、メゾン・シャール・ブルジェは、当時のままの色を大切にします。そうしてオリジナルのデザインを200年以上もの間、忠実に守り続けるメゾン・シャール・ブルジェの歴史的生地の多くは、美術館の所有品コレクションや歴史的参考資料として、寄贈されることも多くあります。
プリントの工程では、オリジナルデザイン版からプリントするデザインが決まると、「トレーシング」に移ります。「トレーシング」とは当時のデザインを分解して、使用されている色彩および線画の細さを特定する作業のことを指します。そしてデザイン、歴史的背景、仕上がりのイメージを元に、以下を決定していきます。
- プリント用の生地素材(パーケール、サテン、キャンバス生地)
- 織目(平織、ジャカード、輪奈織)
この段階は非常に重要であり、メゾン・シャール・ブルジェが伝承する全ノウハウが注ぎ込まれます。同一のデザインであっても、プリントに使用される生地素材によっては、まったく異なる仕上がりとなり、そこに宿る精神も、また違ったものとなります。
例えば、繊細なルイ16世時代のデザインの場合は、サテンやシルクまたは綿のパーケールに描かれることによって、オリジナルデザイン版のイメージとほぼ同じ仕上がりの生地が出来上がります。
しかし、ルイ14世時代のデザインとなると、より重量感のある麻や交織織物に描くほうが適切です。そしてプリント技法、または、織り方に基づいて、メゾン・シャール・ブルジェは生地に新たな命を吹き込みます。
そこで一番重要なのは、生地をプリントする業者です。メゾン・シャール・ブルジェのプリント工場は、フランス国宝企業にも認定されたフランス最高峰の伝統的なプリント技術を持つ職人の方々によって支えられています。そして、メゾン・シャール・ブルジェとカラー職人、プリント職人によって以下が決定していきます。
- 素材の選択(綿、麻、シルクなど)
- 織物の選択(カンバス、サテン、綾織、ナッテなど)
- 重量の選択(ベール、タフタ、パーケール、カンバスなど)
- プリント法の選択(版、輪郭罫、胴、インクジェットなど)
最後にプリント後の確認においては、生地の仕上がりの色・デザイン・手触りを確認する、極めて重要な工程を管理するためだけの職人がいます。また、メゾン・シャール・ブルジェのプリント生地にはモアレ加工、光沢付け、シワ加工を施すことが可能です。
こうして、生地のプリント工程は次の8段階で構成されています。
- デザイン版の選択
- 紋様の分解
- 素材および使用技術の選択
- テストプリントおよび図柄の微調整
- 紋様の修正
- テスト色付け用のサンプリング
- (厳密な品質管理下での)製作
- (厳密な品質管理下での)生地の仕上げ
生地のエキスパート ~ルイ13世時代からブルボン王朝の王政復古まで~
メゾン・シャール・ブルジェは、家族経営の情熱を持ったフランス名門生地メーカーであり、200年以上前から、洗練されたデザイン生地を好む方々に、美しい織物やプリント生地を提供しています。メゾン・シャール・ブルジェの有する豊富なオリジナルデザイン版は、特にルイ13世時代からルイ18世時代のデザインを多く所有しています。簡単に時代ごとの生地の特徴を説明します。
ルイ13世生地:主に小柄なデザインのタピスリーや絹織物。
ルイ14世生地:大柄なデザインの織物またはプリント。ダマスク、ブロカード、生命の木、大きな花束などが描かれ、色彩も鮮やか。国王が裕福な時代でもあり、それを誇示しています。
ルイ15世生地:ダマスクがランパ、ブロカテルとなり、デザインはより細く、曲線的なものに進化し、色彩にも多くのニュアンスが取り入れられます。「シノワズリ」が芸術家のインスピレーションを刺激した時代。
ルイ16世生地:高品質のシルクに「シノワズリ」が描かれ、デザインもさらに細く進化。直線的な、整然とした線画が好まれ、色彩は涼しげかつ繊細。
第一帝政時代:エジプト、ギリシャ、古代ローマが生地に描かれ、ポンペイの発見が多くの芸術家に影響を及ぼします。
王政復古時代:歴史の影響を受け続ける中、豊穣の角、花束、果物、穀物が多く登場。
第二帝政時代:フランスが世界最大の経済権力に成長。主にベルベットといった、重量感のある生地が使用され、豊富な色使いの紋様が全体に施されています。ルイ・ナポレオンが英国育ちであることから、英国の影響でもある花束が見受けられます。壁も、風景が描かれた壁紙で覆われるようになります。
メゾン・シャール・ブルジェの由緒正しいプリント生地は、フランス生地の歴史そのものです。
唯一無二のノウハウ
何世紀にもわたり繊維産業を誇ってきたフランス
フランス各地で生地文化はそれぞれの発展を遂げました。そして、その歴史を経て、フランスの各地域で今でも伝承される生地文化があります。
北部地方、綿製、麻製、毛糸製のベルベットなどといった「重い」生地の機織職人が主流です。
ヴォージュ山地は生成り生地の機織の発祥地であり、ヨーロッパ全体の供給元となっています。
リヨン地方はシルクの機織が特産であり、素晴らしいまでの軽やかかつ滑らかなベールを生産しています。他にも染色、プリント、生地の仕上げ技術も有しています。そして同時にカーボン繊維やケブラー繊維もここで織られています。
アルザス地方、マイエンヌ地方、ローヌ地方はプリント生地の産地です。
メゾン・シャール・ブルジェは、1860年より、歴史ある生地の製作技法を持つフランス各地を訪れ、そのノウハウを習得してきました。そして、フランス国内、近隣ヨーロッパの優秀な職人と協力し、美しい歴史的生地の再現に努めてきました。
徹底した品質管理
メゾン・シャール・ブルジェは、生地の生産過程の全てを管理しています。プリントされるデザインの選別に始まり、プリント用の生地の選択、最終製品とその品質管理に至るまで、全てを統轄しています。
メゾンの染色では、オリジナルデザインの配色を厳密に遵守しています。毒性が危惧されているため、欧州連合によって禁止されている当時の染料に関しては、プリント技師と生地のカラーリストが協同で模索し、オリジナルの色に最も近い色の再現に努めています。
メゾン・シャール・ブルジェのサプライヤーや提携先は全てフランスまたはヨーロッパの企業であり、稀少なノウハウを有しています。本産業の大部分は今でも職人によって構成されており、卓越した技術を維持するためにも、メゾン・シャール・ブルジェは、どの時代においても徹底した人選に努めています。
大量生産とは遠く離れたこの産業では、多くの条件を常に満たす必要があり、日々が心躍るような挑戦に溢れています。
厳格な規準の遵守の中に光る専門知識
メゾン・シャール・ブルジェは、現在は、不燃規準対応生地の採用を義務付けられている施設(美術館、ホテル、城など)の需要にも応えています。伝統デザインを主に扱う老舗生地メーカーとしては、そのようなニーズにも応えられる最大のコレクションを誇ります。
フランス、そして世界中で、メゾン・シャール・ブルジェは、お客様のニーズに合わせ、伝統を守りながら、現代のインテリアコーディネートのニーズもサポートしています。メゾン・シャール・ブルジェでは、素朴な演出から豪華な仕上がりのものまで、完璧な品質、独自の仕上がり、そして安全な仕上がりを常に約束します。
貴重な財産
150年分のオリジナルデザイン版
メゾン・シャール・ブルジェはルイ王朝時代より、豊富な生地のオリジナルデザイン版のアーカイブスを管理してきました。数百点のオリジナルデザイン、オリジナル生地が、パリで骨董屋を営んでいたメゾン・シャール・ブルジェのオーナーの一族であるヴィダル氏によって、20世紀初頭より再び収集・分類・管理されるようになりました。
今日では、2000点以上ものルイ王朝時代からの本物のオリジナル生地を所有、管理しており、まさにメゾン・シャール・ブルジェの宝です。この「宝」は、現在、5世代目のマリー=ノエルとマルク=ポルシェに受け継がれています。
トワル・ド・ジュイについて
「トワル・ド・ジュイ」とは人物を描いたデザインを使用しているプリント生地を指す一般名称となりつつあります。今日では、モノクロームの図柄の印象が強いものの、本来は多色彩でプリントされたものも「トワル・ド・ジュイ」と言います。「トワル・ド・ジュイ」の語源は、「トワル=生地」「ジュイ=ジュイ=アン=ジョザス(フランスの生地工場がある町の名前)」から付けられ、「ジュイの街で作られた生地」がその始まりです。
ではここで少し18世紀中頃までさかのぼってみましょう。
ドイツの染色職人の一家に生まれたクリストフ=フィリップ・オーベルカンプ(1738−1815年)氏。スイス、ドイツにて数年修行した後、印刷技術の特産地でもあったミュルーズにて版画家・印刷屋として就職します。半年の滞在後、パリに移住。そして間もなくして、ジュイ=アン=ジョザスにて、後にオーベルカンプ製作所となる施設の経営陣に迎え入れられます。製作所を一から立ち上げ、1760年に施設が完成します。
当時、プリント生地は大変流行しており、パリおよびヴェルサイユとの近い距離も幸いし、オーベルカンプ氏は日々増えていくオーダーの需要に対応しなければなりませんでした。製産過程はプリント版で行われ、当時のデザインの多くは、インド更紗から直接インスピレーションを得ています。これが、多色彩でプリントされたものも「トワル・ド・ジュイ」の始まりです。
しかし製造量と製造速度を上げる必要性から、一回で約1平方メートルを印刷できる凹版印刷用の銅板が登場しました。
1783年、時を同じくし、スコットランド人のトーマス・ベル氏が凹版印刷用ローラーを使用した印刷機を開発。最先端技術に目のないオーベルカンプ氏はすぐさま一台を工場に取り入れ、現地の金具製造業者のルフェーヴル氏の助けを経て、独自の変更を追加します。
オーベルカンプ製造所は1797年、フランスで凹版印刷用胴を用いる初の施設となります。版が胴に書き写され、繊細さ、色彩の深み、プリントの精度、製造所の生産力が、かの有名なトワル・ド・ジュイが爆発的に人気となったきっかけとなります。
新商品は人気を博し、パリだけでなくフランス全土でトワル・ド・ジュイが大きな注目を集めます。更には国王が、自らの治世を地方にまで誇示するために、様々な場面をプリントすることで、トワル・ド・ジュイは宣伝品としても使われるようになります。
1821年には、製造所は1237人ものスタッフを雇い、一日あたり5000メートル分もの生地の製産を誇ります。
メゾン・シャール・ブルジェは、オーベルカンプ氏の歴史的なオリジネルデザイン版を保管する2つの施設のうちの1つです。
現在でもプリントに使用できる状態にあるデザイン版を14版を所有しており、フランス生地メーカーでは最も多いトワル・ド・ジュイのオリジナルデザイン版を所有しています。この唯一無二のフランスの遺産は今日でも大事に保管されています。
また、現在もメゾン・シャール・ブルジェでは、ジュイ=アン=ジョザスのオリジナルデザイン版を使用してプリントする際は、常に本来のサイズを遵守することを優先しております。
現代の製造技術やツールを使用することで、デザインやそのサイズを修正し簡易化したプロセスで作成もできますが、それでは生地本来の歴史的な精神、描いた芸術家たちの記憶が失われてしまうため、メゾン・シャール・ブルジェでは、オリジナルに最も忠実なやり方で現在も生地を作り続けている、数少ないフランス生地メーカーです。
※D&T FRANCEは、フランス国宝企業 メゾン・シャール・ブルジェ(Charles Burger)の日本総代理店となります。
商品詳細、ご質問等につきましては、当社にて承らせていただきますので、
メゾン・シャール・ブルジェへの直接のご連絡はご遠慮ください。
お問い合わせは、こちらまで(Email: info@dt-france.com / TEL: 042-686-2456)。